想ひ火

寺本祥生の世界

月に向かって


   春先の夜の月は


   日中の暖かさとは裏腹に


   まだまだ透明感の強い冷たさを思わせる



   
   早朝 玄関より足を踏み出し


   ほんのりとした明るさに


   夜空を見上げると


   澄むだ星空に


   おすまし顔をした 気高さ漂う月が


   薄いブルーがかったヴェールを纏い浮かむでいる




   「 おはよう 」、と言う言葉が


   寝静まった空間には まだ早過ぎるけれど


   独り言のように 月に向かって投げ掛けてみる


   何の返事も返って来はしない


   ただ、独り満足してゆっくりと車の方へと足を運むでいた  




     

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