想ひ火

寺本祥生の世界

風の子ルンルン

   
   冬の匂ひのする風の子が
   其処ら中を駈けずり回っていた


   朝方、雨が止むで厚い雲が流され
   青空が広がっていくなか
   風の子等も騒ぎ始めていた


   否、夜明け前の暗いうちから
   風の子等の騒ぎは始まっていたのだろう


   元気な冬の風の子等は
   ひとの想ひなど眼中にある筈もなく
   気儘に転げ回っているのだから


   そんな子等の中にルンルンはいた

×

非ログインユーザーとして返信する