想ひ火

寺本祥生の世界

凍てつく時(ころ)

   天頂より南西の少し低い位置の月を見上げ


   静かな冷たい月の光を浴びながら


   暗い玄関の扉の鍵を締め


   車まで歩いて行くと車は月の光に凍てついていた


   リモコンで車を解錠しドアを開け乗り込む


   どの窓ガラスも磨硝子状態で


   そこで吐く息の白さに気が付いた


   何も考えず出掛けようとしている事に思いがまわり


   慣れたこととはいえ・・・


   冬の真夜中の出勤は辛い


   それでも仕事なのだからと自身に言い聞かせ納得させるのだった

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