想ひ火

寺本祥生の世界

太陽に向かって

 太陽に向かって走る   走る


 東の空に紅くまんまるい大きく太った太陽が
   天空の低い処に浮かんでいる


 此の太陽を目指してわたしは走る 何処までも走る


 太陽が手に届く間にと思ひ 
   其の太陽を掴み取ろうと
     太陽に向かって走る   走る


 何処まで走っても近づかない太陽がもどかしく
   太陽に向かって叫びながら走り続ける


 東の空の片端から天中に向かって高く昇る前までに
   なんとしてでも まんまるい太った太陽を掴み取りたい


 あの紅さなら掴み取る事も出来るだろうと
   太陽の真下まで走って行きたい


 だから 走る


 只、只走って行く

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