想ひ火

寺本祥生の世界

 朝 出

   冬の匂ひがぷんぷんと鼻をついて


   冬の楽しさなど微塵も覚えられず


   冷たい風が寒さを通り越して、手の指先までも悴ませる


   月の光が大気を貫き、身体をも貫き通さむばかりに降り注ぐ中


   慌てて厚手のコートのフードを被り込む


   当然まだ明けぬ朝の早くからの出勤に


   白く煙る吐く息がわたしの存在を気付かせてくれた


   わたしがわたしで在るが事を

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