想ひ火

寺本祥生の世界

風の子ルンルン

   
   冬の匂ひのする風の子が
   其処ら中を駈けずり回っていた


   朝方、雨が止むで厚い雲が流され
   青空が広がっていくなか
   風の子等も騒ぎ始めていた


   否、夜明け前の暗いうちから
   風の子等の騒ぎは始まっていたのだろう


   元気な冬の風の子等は
   ひとの想ひなど眼中にある筈もなく
   気儘に転げ回っているのだから


   そんな子等の中にルンルンはいた


   
   

霧の中で

   昨日のこの時間ぐらいだろうか


   霧が河のように大地の表を流れていて


   視界も100mぐらいまで落ち


   そんな田舎道を走っていた


   見慣れた筈の光景が少し神秘さを帯びて見えていた


   この地域も又霧がよく発生する処で


   屡々見かけるのだけれども、その度に惹き込まれてしまう


   何かぞくぞくするような、好奇心を擽ってくるような


   そわそわした感じに囚われながら


   わたしもこの霧と同じように


   拡散して流れていきたいと思っていた


            

戯 言


     暮れゆく秋も重なりて


      繰る師走の世知辛い表向き


       我とて去る年に想ひこそ残さむと


        手に縒りを掛けての時稼ぎ


         、となれば年の功とて奇特と也