想ひ火

寺本祥生の世界

   閉ざされた世界


   震える大気の体中を


   荒れ狂う強風が縦横無尽に走り抜け


   凍える大地が其の表皮を固く閉ざしてしまう


   時折、顔を見せる太陽の光も弱々しく


   遠くから見守っているだけのように思えてしまう


   そんな年の瀬が眼前で繰り広げられているのだ

願  い

   風の聲を聞いてごらんなさい


   耳を澄まして風の聲を聞いてごらんなさい


   色んなもの音の中から風の聲だけを聞き分けてごらんなさい


   大変な修練が


   どれだけの時間が掛かるのでしょう


   やってみてごらんなさい


   そこから始まるのです


   terra の片鱗が垣間見れるかもしれません


   terra の息遣いが感じられるかもしれません


   あなたが terra と伴に在らむことを


   わたしはお祈りしております

小鬼からの報告

 雪達磨大王の大進撃の中、


 午前の一時の晴れ間に、


  姿を現す山肌を薄く雪化粧を施した山々の、


  そんな晴れ間に雪雲が地面を這うように瞬く間に拡がって、


  雪化粧を施した山々の山裾を這うように雪雲が流れ込み、


  山の全てを飲み込むでしまった。


 雪達磨大王の魔の手がもう其処までやって来ているのだろう。