想ひ火

寺本祥生の世界

 脅 威

 雨が降りました
 今日も又、お庭にお池が出来ています
 そんなお池の中で、すみれ草がユラユラと揺れています


 傍らの地表では、引き抜いた筈のスギナが
 早々と、ツクツクと頭を持ち上げるどころか
 天に向かって、4~5cmにもなる栄養茎を立ち上げています
 雑草が、雨後に芽を地面より突き出し
 当たり一面を緑々しくしてしまう事は、よくある事です
 スギナはそんな雑草より、成長がとんでもなく早いのでしょうか


 スギナは嫌いだ
 地中に根を蔓延らせ
 地面の何処からでも栄養茎を突き出してくる
 こんなにしょっちゅう雨が降ったのでは
 わたしが、スギナ狩りにとても忙しくなってしまうじゃないか

待ち人来たりて

今年も又


小さな妖精達、菫の花々が


庭の彼方此方に姿を現している


とてもとても小さくて可愛い妖精達


そんな小さな妖精たちを見付けては悦むでいる


そんな小さな妖精を見付けてはひとりひとりに


「 こんにちは 」と聲を掛けて、ひと時の会話を楽しんでいる

花も散るらむ

 雨風に散らされた花弁が


 川面に立ちてキラキラと光り


 光の乱反射に身をくねらせた


 春の酔いが光の洪水の中で覚醒し


 光の世界を幻出し水中に其の世界を形創った


 幸いなるかな


 わたしは其れを目撃し感じ取れたのだ