想ひ火

寺本祥生の世界

 呪い

 冬の雨は暖かい
 今年の冬は殊更に暖かい
 不吉 不吉
 用心するに越したことはない
 だからと言って特に何かをする訳でもなく
 日常を過ごしてしまっている
 昨日などは
 北は真冬
 南は真夏とは云わないけれど夏日だった


 




 


 


 世界中の至る所で戦争が起こり
 殺戮が繰り返されている
 殺人者は高笑いの中でのうのうと活き
 庶民を絶望へと追い込み
 世界中の為政者共は形だけを取り繕い
 己の地位に安住する事だけを考えている
 恐ろしや 恐ろしや

お日様

寒風、ピューピューと
大地を吹き抜け冷たく冷やす中
晴れ上がった空には
ゆったりと太陽が其の王道を昇って行く
冬の太陽は弱々しくも
その力はやっぱり偉大だ
そんな弱々しく思える冬の太陽の直射日光が
大地を力強く温め
その温められた大地がじっくりと大気を温める


そんな情景が人の居ない地球本来の一つの姿なのだろう

 云い伝え


 人は地球上の生命体の頂点に立っているとして
 
 人は神になろうとした


 人は知力を極め人の持つ科学技術の粋を使い足掻いた


 そして人は異形のものと成った