想ひ火

寺本祥生の世界

冬日の小さな幸せ


   澄むだ青い空の真ん中に 太陽が大きく輝き


   途切れとぎれに浮かぶ小さな白い雲の群れが


   木枯らしに吹き流されている



   窓硝子一枚を隔てて


   室内に強い陽光がサンサンと降り注ぎ


   暖かさを じっとりとした暑さをも加えて室内に閉じ込めている



   冬が大地の其処ら中を練り歩き


   わたしは部屋で炬燵蒲団に包まって


   窓の外に見える冬の表情を楽しむでいる



   冬日の一日が 穏やかに過ぎて行く

夢幻 ( 想ひ火より )

   あなたを求むるわが想ひに


   応ふるあなたの姿は失く


   わが想ひの空回り


   必死にあなたを見出そうと右往左往する


   でも何故かあなたの姿は失い


   わたしからあなたを奪い去りしものの仕業なのだから


   それでもまだわたしは諦め切れない


   もう とっくの昔のことなのに



   ふと 眼覚めしわたしは一人なり


   あなたの温もりを間近に覚得るも幻なり


   
   更なる哀しみにわが想ひは閉ざされむ

悔いて ( 想ひ火より )

   彼の地の日々が夢に非ざれば


   あなたの想ひも ほんの少しだけは軽くなろうもの


   わたしの曲がった心の果てに 辿り着いた先の処にて


   あなたの心に風船を括り付けてでもみようかと


   魔が差した訳ではないけれど



   
   やっぱりあなたの笑顔は 素敵だよ


   あなたの一言一言を心に留めるように


   あなたの笑顔を結び付けて


   わたしの心に言い聞かせてみよう