想ひ火

寺本祥生の世界

そして何も起こらなかった


 石ころがコロッと道に転がって
 俺は大地にしっかり居座ってやると
 たいそうな大見得を切って居た
 そこへ一匹の蟻がトコトコっとやって来て
 石ころの周りを一回り
 そして石ころの上に登って一休み


 石ころ 「 おいこら、其処の蟻、俺様の上に登るんじゃない。」
 蟻   「 あら、誰かと思ったら、此の石ころさんだったの。」
 石ころ 「 いや、俺様だサッサと降りろ。それと俺様は石ころじゃない。俺様だ。」
 蟻   「 石ころさんじゃなくて、俺様さん?。」



 そして蟻はサッサと去って行った

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