想ひ火

寺本祥生の世界

春がやって来た、戦争もやって来た。

 春は突然にやって来た。
 春の兆しはあったものの気付かぬまま、
 冬の寒さに身を晒していたのだろう。
 そして突然、春らしさが周りに溢れている。
 あまりの突然さに嬉しさもままならず、
 戸惑うばかりで春を受け止めるのが精一杯。
 とは云うものの、春は春。
 カレンダーも三月の中旬なのだから、
 当たり前と云えば当たり前なのかもしれない。



 物騒な世の中で物騒がしい中、
 戦争の心配までもしなければいけない。
 だからと言って直ぐには何かましな事が出来る筈もなく、
 歯痒さが全身に回っている。
 ああ、なんと人類は愚かなのだろう。

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