想ひ火

寺本祥生の世界

虹を目指して

二重の虹が南南西の空に掛かった
暫くの間鮮やかに掛かっていた
何か良い事でも有りそうな気分が湧いてくる
二重の内の一つの虹が形を崩し
消えようとする前迄に
虹の中に在ると云う虹の国に辿り着きたいと
そう思って駆けて行く
人の駆ける速さなんてたかが知れているけれど
全速力で何とか辿り着きたいと
走る 走る
少しずつ形を崩していく虹を眼で追いながら
走る 走る
力尽きる迄力いっぱい走る

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