想ひ火

寺本祥生の世界

 お月さんと散歩しよう

お月さんとわたしはお友達
えっ、どうやってお友達になったのかって?
そう、あの日は朝早い時間に起きてしまったものだから
散歩でもしようかなって思って外に出たんだよ
朝の空気は美味しい
数回深呼吸をして、身体の中をそのおいしい空気でいっぱいにして
まだお日様が出てくる前だったけれど
夜はすっかり明けての朝らしい朝の中を歩き始めたのさ
歩き始めて、暫くして
何か誰かに見られているような気がして
回りを見渡してみたけれど誰も居ない
ふっと空を見上げてみたら
お月さんがいたんだよ
そしてお月さんがわたしをじぃっと見ている
歩くわたしをじぃっと見つめながらわたしの後を付いてくる
何時までも、何時までも付いてくる
お日様が出て来る前で、姿が薄くなりながらも
わたしをじぃっと見ているそして付いてくる
どうしたんだろうっと思いながらも
だんだんと気になって仕方がない
意を決して話し掛けてみたのさ
わたしに何か用事でも有るのですか、お月さま、と
そうしたらお月さん、にこっと笑って
お友達になって欲しいって云ったんだ
わたしはもちろん、良いですよって答えたよ
そう、そうなんだ
そしてそれからのお付き合い
何時もいろんな事を話してくれる
何時も仲良しの、わたしとお月さんなんだ

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