想ひ火

寺本祥生の世界

 鬼 火  ( 想ひ火より )

   風にあなたを想わば強風に流され 
   雨にあなたを想わば激雨に打たれ
   暑い太陽に晒されれば焼き焦がれ 
   遠のく意識の中であなたに溺れ込む



   わたしの中にあなたを住まわせて
   あなたをわたしだけのものにしたいと企むでいた



   そう、わたしは余りにも嫉妬深く
   それをあなたに知られてもいいと考え
   わたしはあなたの心を拘束した



   それは遠い昔


   覚えられない程の遠い昔


   あなたは泣いていた 
   涙も流さず泣いていた

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