想ひ火

寺本祥生の世界

 思ひ込み  ( 想ひ火より )

 夢の中にあなたとわたしが居る


 あなたの聲が聴こえない
 あなたの聲が届かない
 わたしが聴こえなかったのか
 あなたの聲が小さかったのか
 否 わたしが聴こうとしなかったのかもしれない
 何時も傍に居たかったけれど
 あまり傍には居てあげれなかった
 そして何時の間にか思ひ違ひが生まれてしまっていた
 だんだんとそれが大きくなって
 それでも喧嘩してでも互の不満をぶつけ合って
 そんな事でもすれば違ったのかもしれない
 会話がどんどん少なくなって
 途絶えがちになって
 失くなって
 思ひ込みばかりが増えて終ひ
 そしてあなたは何時の間にか居なくなっていた


 わたしは夢を見ている
 わたしはまだ夢の中に居る

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