想ひ火

寺本祥生の世界

夢の中から   ( 想ひ火より )

夢の中にあなたを見付けた
あまりに時が経ち過ぎていて
わたしの中で
あの頃の身を焦がすような想ひ火も立ち消えていた
夢の中のあなたもわたしも然も当然のように会話をしている
もう、そんな時期だとも気付かぬまま
わたしは夢の中に居続けざるを得なかった



夢から覚めたわたしは大きな溜息を吐いてしまった
失念の思ひが沸々と沸き上がってくる
今、夢の中のあなたの然りげなさが
 わたしの平然さがわたしに突き刺さってくる
わたしの想ひの忘却がわたしの心を抉り取ってしまう
わたしはあなたとの夢を見た事さえ後悔せざるを得なかった



   夢の中
    吾妹との空白に
     想ひ火に柵む我と化し

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