想ひ火

寺本祥生の世界

巡り巡りて


 今は未だ冬
 冬は其の冷たさをズルズル引き摺って
 何時までも牡丹雪のようにベタベタと
 生命に纏わり付いてくる


 もうすぐ春
 春は陽の温もりに、まだ寒さを帯びる中
 生命は芽吹き綻び花に散り
 緑の世界に生命の想ひを託さむ


 そして夏
 夏は激しき熱情にて己をも焼き付くさむと
 ジリジリと照りつける太陽の光の中で
 熱さを生命と伴に共有せしめむ


 漸くの秋
 秋は豊満な胸の内に
 優しく生命を抱き込もうと被い込み
 実りくる生命の先成る日を仄めかす

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