想ひ火

寺本祥生の世界

 落書きではありません

 夜明け直前の薄青の空に、風( と云う筆 )を使って


 濃い墨色の雲で色々なものを書いていく


 理解出来るもの、理解の外にあるもの


 只単に塗りたくっているようなもの


 色々と描きなぐった後


 其の作品の全てを、東の空の片端に追いやって


 空と云うキャンパスを、一度綺麗さっぱりと片付けて


 改めて描いていく


 空が少しずつ明るさを増し、白青に変わろうとする頃には


 墨液のようだった雲も其の濃さを失い


 山水画の墨のような色合いに変化していく


 其の描き手が何ものであるのかも知らぬままに・・・

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