想ひ火

寺本祥生の世界

   気怠い朝


   朝昇る太陽の暖かさが
    優しく全身を包み込むでくれた


   今朝の寒さを和らげてくれた太陽が
    少し前のあの暑かっただけの太陽と同じものだとは思えない


   太陽に少しだけ親しみを覚えるのもこの時季だからだろう
    
   仄々とした感傷を持つ中で眠気がわたしを誘ってくる


   朝からこんな気分ではまずいだろうに

  夢


  夢を見た
  わたしは夢を見た
  脈絡は覚えていないが
  わたしは夢の中で馬車引きの為のペガサスを
   この手で捕らえることが出来た
  何と喜ばしい事だろう
  何と云う幸運なのだろう
  わたしはペガサスをこの手中に納め、一息ついた
  その時わたしは、はっと気が付いてしまった
  わたしの頭上には、既にわたしが所有するペガサスが
  わたしだけのペガサスが
  わったしをじっと見下ろしているではないか
  わたしは何と物欲が強いのだろう
  わたしは何と物欲が深いのだろう
  わたしは何と罪深いのだろう
  、と其処でわたしは目覚めてしまった

  わがまま ( 想ひ火より )


   わたしがあなたをえらび


   あなたがわたしをえらむだのだから


   あなたとともに生き


   あなたとともに死ぬ


   あなたとわたしの想ひがここにあるのだから


   そのくらいのわがままはゆるされるだろうに