想ひ火

寺本祥生の世界

月に住む兎とや


     ひとの世の


      かそけき里の土塊たらむ


       夢に想わば


        白む月夜の謀


         想ひの雫を地の表に垂らさむとす

祈り


     今日と云う一日が


      昨日を引摺り 明日に惑ふ


       日々の移り変わりに己を晒し


        遠い明日の光に纏わり付く


         
       主の加護の元に在れ

逢引


     夢に恋しや


     月夜の逢引たらむ


     手に手を取る二つの影が


     水面( みなも )に揺れて