想ひ火

寺本祥生の世界

 冬の陣


  冬の最中に在り、大気の冷たさが心身に染み渡る


  今年は春を待ち望む人も、さぞ多かろうに


  そんな中、遠くない春の足音の幻聴に一喜一憂している


  まだまだ冬は健在だ




  冬将軍の盟友雪達磨大王は今日も健在だ


  東方は冬将軍の手配で万全であり


  其の西北に雪達磨大王が陣を張っている


  之で大陸の東の端に在する日本列島迄が


  之勢力下に成っている


  めでたしめでたし              ( 談 北風小僧 )

  青い空


 冬の青い空


 何処までも青い空


 冷たく澄み切った青い空が、遠くの遠くまで広がっている


 見入れば魅入る程、其の青い空は美しい


 そんな青い空が視界いっぱいに広がっている


 そんな青い空が地平線いっぱいに続いている


 雲一つ無い青い空


 見渡す限りの青い空


 こんな空が本当に在るのだろうか



 
 只、人の感性は其れを実現する

 寒気の正体

 
 寒気の塊りが重なり合って


 大きな一つと成って大地に陣取ってしまった


 地上のあらゆるものが其の冷気に触れて冷たく固まってしまう



 雪女が舞い踊り起こした冷風なのか


 雪男が冷風扇で扇ぐ冷気なのか


 雪達磨大王が発射した冷凍光線なのか


 其れは定かではない