想ひ火

寺本祥生の世界

  亡 び


   亡びゆく世界


   亡びの始まり


   ひと族は未熟ながらも


   光在る生き物と考えていたのだが


   亡びの始まりを見た上では


   光は見せかけで、本来は闇に住み着く住存在だったのだろう

パンジーとスギナ

 庭のあちらこちらに、庭じゅうに
 散らばった、いろとりどりな小さなパンジー達
 おかげさまで、歩くのも一苦労
 小さな可愛い花を踏みたくないので一苦労
 小さすぎて雑草と見分けるのも一苦労
 区別差別するのは嫌だけれど
 地下で根を張り巡らすスギナ
 これだけはうちの庭からなんとか駆除したい
 でも、小さな可愛いパンジー達が
 散らばりすぎて、スギナを駆除できない
 そこでまた一苦労
 今年のうちの庭は、本当に本当に一苦労

春の夜の花の酔


   春の夜の揺めきを楽しもうと


   ひとり暗がりの中を歩くも


   風立つざわめきに、気を取られ目を向ければ


   暗がりに浮き立つ花の精の彩りが


   纏わむとする緑の芽吹きの中に在る


   ようようと眺むるも、やはり花の精に在る


   
   
   さればこその夢成るかと、思いつつも


   之一時を存分に楽しもうぞ