想ひ火

寺本祥生の世界

夢幻 ( 想ひ火より )

   あなたを求むるわが想ひに


   応ふるあなたの姿は失く


   わが想ひの空回り


   必死にあなたを見出そうと右往左往する


   でも何故かあなたの姿は失い


   わたしからあなたを奪い去りしものの仕業なのだから


   それでもまだわたしは諦め切れない


   もう とっくの昔のことなのに



   ふと 眼覚めしわたしは一人なり


   あなたの温もりを間近に覚得るも幻なり


   
   更なる哀しみにわが想ひは閉ざされむ

悔いて ( 想ひ火より )

   彼の地の日々が夢に非ざれば


   あなたの想ひも ほんの少しだけは軽くなろうもの


   わたしの曲がった心の果てに 辿り着いた先の処にて


   あなたの心に風船を括り付けてでもみようかと


   魔が差した訳ではないけれど



   
   やっぱりあなたの笑顔は 素敵だよ


   あなたの一言一言を心に留めるように


   あなたの笑顔を結び付けて


   わたしの心に言い聞かせてみよう

行方

   地面(ぢおもて)に零れし雨粒が


   染み入る事なく地表を滑り


   低き処に塊を造り


   水溜まりを造り


   溢るるままに 水流と成って


   池を、沼を、湖を造り海へと流れて行く


   わたしは何処へ行くのだろう