想ひ火

寺本祥生の世界

小さな幸せ


     この爽やかな風をあなたにもあげよう


     この爽やかな風はわたしに


       一時の幸せを感じさせてくれる


     あなたにも同じように感じて欲しい


     ほんのささやかな幸せが


       二人を幸せにしてくれる

お月さんは笑っていた


     月の光に晒されし地の表にて


     醸し出さるる飾り火の戯言に


     地を這うものどもの呻き聲


     右往左往の世渡りたらむ

月に住む兎とや


     ひとの世の


      かそけき里の土塊たらむ


       夢に想わば


        白む月夜の謀


         想ひの雫を地の表に垂らさむとす