想ひ火

寺本祥生の世界

  烏


 暮れ行く冬空の寒風吹く中
 何処かで烏が、カアーカアーと二聲上げた
 寒くはないのだろうか
 真っ黒な羽に包まれているのだから
 余が思ふ程には寒さも感じないのだろう
 そもそも寒いと云う感覚はあるのだろうか
 人族足る余には分かりもしない
 否、寒いと云った感覚は有っても
 どうしようもないと云う事なのだろう
 之が在るがままの姿であり、然る可きものなのだろう
 カアーカアーカアー、再度烏の鳴き声が聞こえた
 さてさて何処へ飛んでいくのだろう
 そろそろ巣に戻るのだろうか
 寝床でも探しているのだろうか

 生と死

 あなたが嬉しそうにしていたら
 わたしも嬉しくなって
 あなたが楽しそうにしていたら
 わたしも楽しくなる
 あなたが笑っていたら
 わたしも笑っているだろう


 あなたが憂いを帯びたなら
 わたしも憂いに陥り
 あなたが悲しみに暮れる時
 わたしも悲しみに染まってしまうだろう
 あなたが涙すれば
 わたしも大粒の涙をこぼし
 あなたが泣いてしまったら
 わたしも泣いてしまうだろう


 あなたがあなたで在る限り
 あなたと共に生きていく事がわたしの生で在り
 あなたと何時までも一緒に居たい
 あなたとは何時でも一緒に居たい
 わたしがあなたを何時でも守っている

 陽 処(日 向)ぼっこ

 猫じゃないけれど
 陽処ぼっこがしたいなあ~と思って
 窓から燦々と射し込むでくる陽光を身体いっぱいに浴びる


 
 陽の温りがじんわりと身体の奥底まで染み入って
 心まで温いような気がしてしまう


 
 猫の気持ちが分かるなんて言わないけれど
 ふと猫になってみたいななんて思ってしまった