想ひ火

寺本祥生の世界

  人 形( ひとなり )

  わたしは 人形


 飾台の上に飾られた人形ではなく


 ベッドの上にポンと置かれた人形


 わたしの持ち主を紛らわすもの


 でも一応大事にはされていると思うから・・・


 傍らに誰も居ない事の方が多いけれど


 わたしの持ち主には


 わたしがわたしで在る事を気付かれないようにしている


 誰も居ない部屋のベッドの上に仰向けで横たわり


 ただじっと天井を見つめている


 わたしは 人形


 人形でしかない わたし

 雪童子


     想ひ火を言の葉に寄せての飾り事と


      妹が背に消ゆる雪ん子等への贈りもの


       舞い散る華の雪もあはれ為り

    生命の狭間


     二人して蒲団に包まる温もりは


      一時の生命の微睡みと


       一夜の夢に彷徨うも おもしろきと也