想ひ火

寺本祥生の世界

生命為る時


   人為る時と空間の限りの短さを


   あなたと同じ道を歩む儚さに覚ゆるも、時既に遅く


   道筋はもう其処に終わらむとする


   二人して其の現在( いま )の時に微睡む也


   冬日の風花舞う 散歩道

月の雫




   こんこんと深まる静かさに


    月の雫が滴りて


     凍てつく大気を時に重ねるも


      月夜に降り注ぐ銀の槍と化す

  貧者の叫び

年明けての気忙しい数日が漸く過ぎ、身体の疲労だけが残留物として溜まっている。
こんな繰り返しの日常の中で分かっている事は、
幾等、正月とは云え、其の正月を正月として過ごせる者と、
正月も平日も何等変わらない生活をしている者との二種類があると云う事である。
世の中がコロナコロナと騒ぎ立てようが、
其の者の生活がコロナ規制縛られる事はあっても、
当人には然程の興味も無く、
只,生きていく為にだけ生活している者が存在しているのだと云う事である。
要は、権者と其の権者に従っている者達だけが騒ぎ立てているのだろう。
抑、貧者にはそんな余裕も失く、日々の生活の浮き沈みだけが、
目下の課題であって、其の日一日の稼ぎが重要なのだから。
現在の世の中、アメリカ、ヨウロッパ、中国、ロシア等、日本を含めて、
何処の国にも貧者にとって未来は無いだろう。
貧者は消費されていくだけなのだから。