想ひ火

寺本祥生の世界

 土  筆

 ツクツク、ツクツクと伸びる杉菜の子
 短い春を勤しむかのように伸びている


 春をあなたと二人で楽しもうと春麗の土筆摘み
 夕餉の春の一品にと二人で土筆摘み
 下拵えの煩わしさに負けじと頑張った


 出来上がり、更に盛ってみれば何とも稀少なり
 二人で何とか食べ分けて
 一頻りの楽しき夕べかな
 短い春を楽しもう
 否々、此の量だと名残惜しさに未練が残る

 春 麗


 春のうららに気もはやり


 蒲公英狩りを洒落込まむ


 気付けば、くしゃんくしゃんと


 嚔も止まらず


 涙と鼻水でグシャグシャに


 ああ、春も真面に楽しめむ

 春を見付けて


 風が春を含み始めると


 春の兆しに目敏くなって


 此処にも彼処にも春が・・・、と気になって


 一つ一つの春を見付ける度に嬉しくなって


 啓蟄ではないけれど


 暫らく振りに其処らを散策してみよう


 今日は天気も良さそうだし


 気が変わらぬ内に春を楽しもう